Webマーケティング領域で、世界中から画期的なテクノロジーソリューションを発掘し、日本企業に導入・コンサルティングを行う株式会社ギャプライズ。代表的なサービスとしては、競合企業のサイトトラフィックや広告、検索ワードを分析する『Similarweb』があります。 入社3年目の高瀬裕理(ゆうすけ)氏は、テクノロジーソリューション事業部に所属。Webマーケティングのテクノロジーで最先端をいくイスラエルをはじめ海外企業の数多くのソリューションを、「日本の市場にあうか」「いかに企業の課題解決をして成果へ導くか」を見極め販売する、Business Creationチームの責任者です。すでに手がけた新サービスは10件以上。未知のソリューションを導入し、日本の市場に浸透させる、その裏側について伺いました。

半年もリソースをかけて結局、閉じる。身をもって感じたローカライズ販売の難しさ

—— 海外のサービスを日本で展開する際に、心がけていることは何ですか。

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1 つはリソースをかけすぎず、まず“ライトに”やってみること。どんなサービスなら、どんな業界の、どんな課題をお持ちのお客様にフィットするかはわかるので、良いサービスだと感じたら、まず仲のよいお客さま何社かにバリューピッチをします。

とりあえずは口頭で、海外の企業から借りた英語の資料をもとに話します。それで「けっこういいぞ」「ニーズがあるぞ」と手応えを得られたら、日本語版の概要資料やサイトを準備します。さらに「本当に売れる」となれば専任のセールスを雇い本格的に営業を開始します。

—— 最初から、そのような“ライトにスタートする”という営業スタイルだったのですか。

あるユーザビリティ改善サービスの導入に失敗してからです。今まで手がけたサービスは 10 以上、そのうち企業 1 社のみの導入でその後残念ながら広げられなかったサービスは 3〜4 件はあります。入社後まもなく前任の担当者から引き継いだこのサービスもその 1 つでした。

このサービスは初期段階で日本語版の資料もサイトも、作り込みました。本国側との取り決めもあり、当社だけでコントロールはできませんが、立ち上げ期としてはかなりのリソースをかけました。メイン担当の僕以外にインターン生を含め、多い時で 2〜3 人はかかわっていました。それでも売れなくて半年でクローズしたんです。

—— それだけリソースを費やしたのに、失敗した理由は何だと高瀬さんは捉えておられますか。

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僕の力不足です。入社直後で理解不足もありました。日を追うごとにこのサービスが当社の強みを出しにくく、当時の日本市場との親和性もあまりないとわかってきました。3〜4 カ月経った頃には、サービスのターゲット層と当社の顧客層とがかぶっていないし、海外の導入事例を調べる中でも最終的に難しいと判断したんです。それ以降、まずはサービスのコアなバリューを理解して、お客様の声を聞きながら始めるスタイルになっていますね。

—— 文化や商習慣の異なる海外の企業とやりあう中で、大変なのはどんなことでしょうか。

実はあまり“大変”とは思ったことはなくて。あえて言うなら“期待値コントロール”は毎回難しいですね。海外の企業は“日本は経済大国”という先入観があり、「ものすごく売ってくれるんじゃないか」と期待がかなり膨らんでいる。交渉初期から「今すぐ日本へ行くから」と鼻息の荒い担当者もいます。

そこまで期待されても、当社は 1 社のサービスにそこまで注力できるほどリソースがありません。期待をコントロールするのは大変ですね。日本独特のカルチャーですが、海外ほど意思決定がはやくないし導入までに時間がかかることなども事前にしっかり伝えます。ここは毎回、時間がかかるところですね。

想定外の大ヒットもある。ローカライズ販売の進め方や面白さとは

—— これまで携わった仕事で、記憶に残っているものはどんなサービスですか。

『monday.com』というプロジェクト管理ツールです。最初に聞いた時は正直「日本で売れるの?」と思いました。すでに日本では他のコミュニケーションツールやタスク管理ツールが主流だし、今さら新しい管理ツールが売れるのだろうか。ましてや一部の UI も英語、日本語のブラウザ変換はできても果たして……と思ったんです。

でもイスラエルの知人から「絶対にパートナーになった方がいい」と強く薦められたこともあって契約しました。ところが予想に反してめちゃめちゃ売れちゃったんですね。

—— 『monday』の何が受けたのでしょうか。乗り換える企業も出てきたということですね。

機能面の素晴らしさ、フレキシビリティです。導入した企業側が、自分たちで自由にカスタマイズできるのが受けたんです。そこは僕たちの想像以上でした。既存ツールから乗り換えていただいたり、場合によっては併用していただいたり、プロジェクト管理ツールを探しはじめたばかりのお客様にも好評でした。

—— やりがいはやはり、そうした思いがけないヒットが出た時でしょうか。

いちプレーヤーだった時は、自分でハードなネゴシエーションをして数千万円もする大きなディールを勝ち取ることに一番面白さを感じていましたね。ひとりに与えられる裁量やチャレンジできる領域はかなり広く、前職の会社とは大きく違って、より面白さを感じられる部分でした。

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そして現在はチームマネージャーを務めているため、最近は大きな案件を狙いつつ、もっとチームとして「どう事業を成長させるか」「ドライブさせるか」などの方が面白くなっています。今僕がメインで担当するのは、テクノロジーと当社の強みをかけ合わせた、独自ブランドのサービスの立ち上げです。それを「どうスケールさせるか」「人をどのように増やして、どうグロースさせるか」、事業戦略を練ることが楽しくなってきています。

マニュアル化できない未知のサービスを扱う仕事だからこそ、メンバー各々の主体性が重要

—— 仕事の中でもっとも大事にしているのは何でしょうか。

生産性です。いかに短時間で高い成果を出せるかを常に意識しています。即レスはもちろん、会議や報告会の回数を減らすとか、やらないことを決めます。メールやチャットワークは自分が関連するものは、ほぼ全部見ているのでメンバーの仕事の状況はだいたい把握しています。僕は全部読むのは苦ではないし、むしろ知らないより自分もラク。状況を理解していれば、メンバーに無駄な質問をしたり報告をさせたりもありません。普段から気軽に相談できる関係性を築いているので、わざわざ報告するような堅苦しさもあまりません。

—— チームをマネジメントするうえで大事にしていることはありますか。

メンバー各々の主体性です。基本的に細かい失敗は気にせず、どんどんチャレンジしていいよと常に言っています。もともと自分がのびのび自由にやらせてほしいタイプなので、自分と同じようにメンバーにも接しています。

また、僕らの携わる領域は常に未知のサービスなので、マニュアル化されていません。しかし僕がチームで扱うすべてのサービスの詳細を理解し指導するのは不可能。担当する各人が第一人者として主体的にやってもらうのがベストだと思います。

ひと言で、そのサービスの良さを言えるか?それが市場を席巻できるかどうか

—— たくさんある海外のサービスの中から、いいものを見極めるその判断基準はどこにあるのでしょうか。

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シンプルに「すごさ」を表現できるかどうか。3 時間説明してやっと良さが伝わるようではダメ。ひと言ふた言で「こういうことできる」と説明できて、「すごい! 詳細聞いてみたい」と相手に思ってもらえることが重要です。日本で売る場合は、アメリカの市場傾向も影響するので、アメリカの導入事例も判断材料になります。

しかし今は僕らが発掘するより、日本でビジネスをしたいと考えているイスラエルの企業が、当社に声をかけてくるケースが多いです。イスラエルは小さい国なので、転職などの人の移動や友人関係を通じて、「日本でサービスをやるならギャプライズがパートナーとしておすすめだよ」という既存ビジネスパートナーの口コミが影響しているようです。

—— 海外のサービスをローカライズ販売する面白さは、どこにあるのでしょうか。

やはり動きが早いこと。プロダクトのアップデートはかなり早いです。日本の場合はテストを何度も繰り返して、ようやくアップデート。でも海外はテストもせず、いきなり機能リリースする企業もけっこうあるので、「急にすごいのが出てきたな」という驚きもありますね。

3 年間のキャリアの中で、そう感じた瞬間は何度もあります。最近では「Kenshoo」というサービス。広告の自動化アルゴリズムで、各地の天気情報をもとに自動で最適化する機能。雨の日は EC サイトの買い物比率が高いので、天気で価格の設定を変える。マニュアルで同じことをするとめちゃめちゃ大変ですが、それを自動化するのは進んでいるなと。日本にもすごい機能はありますが、やはり海外の“進んだ”手法を学べることも醍醐味の 1 つですね。

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