「世界の農業の頭脳を創る」を理念に掲げる、農業 IoTソリューションカンパニーのファームノート。クラウドや人工知能、データ解析など最先端技術で酪農や畜産の生産性向上と効率化を実現させている。日本の酪農業界にイノベーションをもたらす同社で、その頭脳として活躍しているのが、新技術開発マネージャーの阿部剛大氏だ。もともとビッグデータ解析を専門としていた阿部氏は今、世界中で誰も解明できていない領域での研究開発に明け暮れている。その面白さや、ファームノートで働く魅力について、お話を伺った。

世界中に事例がない領域で、データ解析をする面白さ

—— 阿部さんは新卒でドワンゴに入社し、その後ファームノートに転職しています。どういった経緯があったのでしょうか。

僕は北海道の帯広出身で、就活中に同じ帯広出身で現ファームノート代表の小林の存在を知りました。当時はファームノートの事業がまだない頃で、単に同郷の経営者がいることに興味を持って連絡を取り、社会人の先輩としてお付き合いをさせてもらっていました。

その後、大学で専攻していたビッグデータ解析技術を生かすため、新卒でドワンゴに入社。でも、しばらくして「新しい事業を始める」と小林が見せてくれたファームノートの事業計画、最先端技術や IoT を駆使して酪農や農業を変えていくことに心を奪われました。

ぼんやりとですが、いずれは北海道で IT の事業をしたいな、地元の酪農家が休暇を取れるようなサービスがあればいいなと考えていたこともあって、「これ、僕もやりたかった事業です」と興奮気味に話し、ファームノートにジョインしました。

—— 現在は新技術開発のマネージャーをされています。具体的に何をしているのでしょうか。

牛の体にセンサーをつけてリアルタイムの活動情報を大量に集め、それを分析してより良い牛の飼育方法などを研究開発しています。社内にいる 8 名のメンバーと共同研究先の大学や研究所と一緒に進めているところです。

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コンピュータサイエンスの世界なら、数万、数百万のビッグデータを集めて分析・研究をしますが、牛の場合はこれまで 100 頭の情報が集まれば大規模実験と言われていました。

だから、数万頭の牛のリアルタイムな情報を分析して、新たなエビデンスや可能性を見出した事例は、世界中を見てもほとんどありません。

でもファームノートでは、数万頭の牛にセンサーをつけて研究開発を進めている。誰も知らないことを解明し、新しい可能性を生み出せることに、本当にワクワクしています。

—— 研究開発で新たに発見したことを、言える範囲で教えてもらえますか?

サンプリングの統計値により「常識」だとされていたことが、全数の実態を観測することで少し違うことが分かってきました。

日本には牛の標準の飼育方法があり、北海道から九州までその標準に合わせて牛を飼っているのですが、データによって「北海道の牛の動き」「九州の牛の動き」など地方によって牛の動態に差があり、それによって生産性が違っている可能性が見えてきたんです。

一方で、先人の知恵や経験、勘が、データによって正しいことも証明されるようになりました。エビデンスのなかった世界を解き明かしていくのは、非常にエキサイティングですね。

ワクワクしない仕事はやらない。本当にやりたいことをやる環境づくり

—— ファームノートに入って、ご自身にどんな変化があったと思いますか?

入社当時、僕はデータ分析が専門領域だから「ビッグデータを扱うのが役割」だと勝手に思い込んでいました。その結果、視野が狭すぎて仕事のパフォーマンスは上がらなかった。

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だけど、事業をどう進めていきたいのか、自分は何をしたいのかを突き詰めて考える機会が増え、「誰も解き明かしていない研究開発をやりたい」と思うように。

それからは、「ビッグデータの人」というこだわりがなくなって、何を達成したいかに意識が向き、今までまったく興味がなかった生物学や生理学の領域が、とにかく面白いと思うようになりました。

だから、メンバーにも「一番やりたいことは何?」とよく聞いています。なんとなく学校で学んだことや前職などのキャリアから、「自分の専門分野はこれだ」と役割を思い込む人が多いですが、それは本当に自分で選択したことのなのか、やりたいことなのか、と。

お給料をもらうためだけに働くのはつまらないから、メンバーにもやりたいことや知りたいことへの好奇心を大切にしてもらいたい。むしろ、ワクワクしない仕事はするなと言っています。

ライフの中にワークが溶け込んでしまうほどワクワクするものは何か。ファームノートには、早朝から牛舎に行って牛を触りながらパソコンを叩くエンジニアが何人もいるのですが、仕事だから泣く泣く早起きをしているのではなくて、それが楽しいからやっている人しかいないですね。

—— メンバー全員が楽しく仕事をするために、心がけていることはありますか?

まずは僕がとにかく楽しく仕事をすることです。加えて、メンバーがやっている仕事に対しても「面白いね」と言葉にして伝えています。そうすることで、「もっとやりたい」と思える安心で健全なチームができます。

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それから、世の中の流れとは逆かもしれませんが(笑)、僕は仕事とプライベートは本来分離できないものだと考えているので、プライベートと仕事のどっちも相談に乗りますし、何でも話せる関係性を大切にしています。

言いづらいことがなくなっていけば、仕事でも本質的な議論ができるようになる。そういった、信頼関係のある健全なチーム、心理的に安全で自分の意見を言える環境づくりを大切にしています。

—— 阿部さんはファームノートと出会ってなかったら今どうなっていると思いますか?

たぶん、ひどい人間だったと思います(笑)。自分のスキルや技術力だけで勝負しようとするような、周りに“まさかり”を投げまくって、誰にも相手にされない人になっていたんじゃないかなって。

だからこそ今、仲間と一緒に「世界の農業の頭脳を創る」というトピックに対して議論ができることを幸せに感じています。「自分の技術・自分の評価」が大切だった考え方から、みんなで一緒に世界を変えていく考え方に変わりました。

本当の意味での“フルスタックエンジニア”へ

—— 今後の目標や成し遂げたいことを教えてください。

ファームノートだけでなく、大学や研究機関との協業でさまざまな知見が入ってくるので、そこでシナジーを生みながら業界全体を良くしていきたい。まだ明確なビジョンは描けていませんが「世界最強の牛の研究機関」になれたらいいなと思っています。

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それから、酪農家さんと話をしていると、酪農は不安の大きな仕事であることを感じるんですね。なぜなら、毎日いろんな工夫をするものの、それが生産性と直結しているかはわからないから。

本質的には何を考えているのかわからない牛という“ブラックボックス”を扱う仕事だからこそ、データを活用して不安を解消できるようにしたい。

ファームノートには、もともと河川の研究をしていたメンバーや、データベースで博士の学位を取ったメンバーなど、いろんなバックボーンを持つ人が集まっています。

プログラミングやインフラ設計だけが技術ではなく、酪農家さんの日々の仕事も経営もすべてが技術です。データベースからアプリまでのフルスタックエンジニアではなく、リアルの仕事を含めた本当の意味でのフルスタックエンジニア集団として、世界にインパクトを与える研究開発をワクワクしながら続けたいです。

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