人の印象は「笑顔」が大きく左右する。その「笑顔」に影響を与える要素が、歯と口元の美しさだ。多くの人が一度は「クリニックでホワイトニングをしてみたい」と思ったことがあるのではないだろうか。 そんな潜在的ニーズを可視化し、“虫歯になったら行く歯科医院”から、“健康者が行く歯科医院”へとビジネスモデルを転換して、歯科医院と生活者、社会に貢献する事業を展開しているのがホワイトエッセンスだ。 同社は設立からの16年間、歯科医院をフランチャイズ化するという難しいビジネスモデルに挑みつつ、顧客満足を第一に考えた展開をしてきたことで、他社が追随できないブランドに成長した。具体的に、どのような道のりを辿り、これからどこに向かおうとしているのか。執行役員の伊藤寛之氏に話を伺った。

生活者の潜在的ニーズと歯科医療技術をつなげる

—— ホワイトエッセンスはどのような課題やニーズから誕生したのでしょうか。

笑顔は周りの人にはもちろん、自分の人生に大きな影響を与えます。だから昔から「歯と口元を綺麗にしたい」というニーズはありました。しかし歯科医院は、ニーズを叶えるホワイトニングやクリーニングなどの技術を持っているにも関わらず、生活者に“病気になったときに行く”イメージしか持たれていなかったので、利用する人はほとんどいませんでした。

潜在ニーズを掘り起こし、ホワイトニングの市場と文化を作れば、笑顔の人を増やせるのではないか。そこで、歯科医院を美容室やエステのようにサービス業化する新しいビジネスモデルを構築し、フランチャイズ方式で全国に広めていく選択をしました。

また、ホワイトニングやクリーニングは「歯を削らない審美歯科・予防歯科」として、歯科衛生士の資格で提供できる技術です。しかし、当時の歯科衛生士の大半が歯科医師の補助しかしておらず、宝の持ち腐れ状態でした。

診療補助は大半が単純作業のため、やりがいを感じづらく辞めていく歯科衛生士が後を絶たなかった。実際、当時全国に 23 万人いた歯科衛生士のうち、歯科業界で就業していたのは9万人しかおらず、離職率も 65%だったのです。

歯科医院がホワイトエッセンスのフランチャイズに加盟すれば、歯科衛生士が主役になるチャンスが生まれます。

自分でカウンセリングや施術をして、ファンとなるお客様を増やしていけば、歯科衛生士の力で組織を良くすることも拡大することもできる。それにより、歯科衛生士の地位向上に寄与できるのではないかと考えました。

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16 年かかった茨の道が、唯一無二のブランドを作った

—— 歯科医院をフランチャイズ化するにあたって、大変だったことはありますか?

多くの歯科医師に「顧客満足」や「経営・マネジメント」の概念がほとんどなかったことです。もともと歯科医院は、顧客満足を追求してリピートしてもらうことより「病気を治す」ことに主眼を置きます。

さらに、「まじめに診療していれば経営は成り立つ」と考える職人気質の院長先生が多く、95%以上の歯科医院が院長と数名のスタッフで運営する個人事業のため、経営やマネジメントが必要といった考え方もほとんど浸透していなかった。

フランチャイズは統一性を担保することで、生活者に安心してご来店いただくビジネスモデルです。

だから、加盟店には同じレベルの技術・サービスを提供してもらうことが必須なのですが、「顧客満足」や「経営・マネジメント」を一から学び実践してもらうことは、並大抵のことではありませんでした

なぜなら、院長先生には過去の考え方を一度捨て、変わってもらう必要があったからです。実際、私は入社後にフランチャイズを拡大する役割を担ったのですが、加盟希望の歯科医師の7割近くを断っていた時期もありました。

通常フランチャイズは、加盟店数と収益力が比例するため、加入希望者を 7 割も断るというのは異例の判断です。でもそれができたのは、参入障壁が高くコンペティターが現れなかったから。実際、大手が参入してきてもすぐに撤退されていました。

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信じられたのは、生活者、歯科医院、歯科衛生士、社会に貢献できること

—— 16 年の間、この事業を諦めなかった理由は何だったのでしょうか。

まず、生活者に必ずニーズがあると信じていたからです。私はジョルジオ・アルマーニからホワイトエッセンスに転職したのですが、そのきっかけはホワイトエッセンスの1号店のサービスを受けて感動し「これは絶対に流行る」と確信したことでした。

友人 10 人にオススメしたら 10 人に満足してもらう自信があったんですね。しかも、どの企業もやっていなかったので、日本に新しい文化をつくるパイオニアになれるというワクワク感もありました。

実際に、店舗を増やしていく過程で、「人間関係があまりうまくいかなかったけれど、白くなった歯を見せたくて口を開けて笑うようにしたら、食事に誘われる機会が増えた」と喜ぶ方や、最初はうつむき加減で地味な服装だったのが、次第に洋服も明るくなって別人のようになる方などを目の当たりにするうちに、その考えは確信に変わっていきました。

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また、歯科医院の未来のためにもお役に立てると信じていました。来院理由の8割が虫歯なのに、ここ 30 年で虫歯は5分の1に減っているため、発症した病気を治療するだけのビジネスモデルでは、今後成り立たなくなる可能性があるんですね。

健康者が来院するようになれば歯科医院にとっては未来が拓けます。しかも、実費で歯をキレイにするホワイトニングの文化が定着して楽しくリピートする人が増えれば、それは予防医療につながりますから保険医療費の削減や健康寿命の伸延などの面で社会に貢献できる。

生活者、歯科医院、社会にとって「絶対に良いことだ」と信じられたからこそ、16 年間も歯科医師と真正面から向き合い続けられたのだと思っています。その結果、他ができないようなブランド力を持つフランチャイズになりました。

—— 拡大が難しくてもニーズと意義を信じ、顧客満足度を追求した事業を 16 年間続けてきたのですね。

そうですね。市場が未成熟なのに、顧客満足度が低かったら意味がありません。だから加盟者の院長先生には、マニュアルや研修などを通して顧客満足、経営・マネジメントについて徹底的に学んでいただきました。また我々も、いかにして生活者とのつながりを広げられるか徹底的に考えてきました。

—— その考えから物販も始められた。

ホワイトニングは1ヶ月ほど通えば、芸能人のような白い歯になります。でもそこで終わりではなく、その後のメンテナンスがとても大事なんですね。歯磨きをしても 100%歯垢や雑菌を除去できるわけではないので、3ヶ月に1回はクリニックでのクリーニングが必要。継続して通うことでツルツルの綺麗な白い歯を維持できます。

加えて、日頃の家でのメンテナンスも大切なので、それをサポートするためにオリジナル商品を作って歯科医院に卸し、さらに歯科医院で歯をケアするのが当たり前な文化を作るために、初めてのテレビ CM も放映しました。すると、小売店からの引き合いがあり、ネット上でも商品が飛ぶように売れるように。

直接つながる生活者が増えたことは、本当にありがたいことです。

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国内約 3500 万人の潜在層に機会を提供する

—— 今後の展開としては、どのようなことをお考えでしょうか。

「フランチャイズ事業」と「BtoB の医療機器の製造販売」、「生活者向けのオーラルケア商品」の拡大です。まずフランチャイズ事業に関しては、現在約 190 院の加盟医院を今後 10 年で 800 院まで増やします。

実は、2017 年に実施したアンケート調査で「過去にホワイトニングをしたことがあるか」と質問したところ「ある」と答えたのは 10%で、なかでも直近1年間にホワイトニングをした人は3%程度しかいなかったんですね。

一方で、「クリニックでホワイトニングをしてみたいか」と聞くと、「積極的にやりたい」「機会があればやりたい」と答えた人が 53%もいた。日本の生産人口を 7900 万人として単純計算すると約 4000 万人が利用意向者ということになります。

しかも、その 53%の人に対して「実際にホワイトニングをしたことがあるか」と聞くと、83%が「NO」と答えたんです。ニーズがあるにも関わらず眠っている市場なので、良質な加盟医院を増やすことで多くの人にホワイトニングの機会を提供したいと考えています。

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顧客と直接つながり、新たな市場を世界で確立させる

—— 商品開発も積極的に続けていくのでしょうか。

そうですね。これからが拡大フェーズだと考えています。

実は昨年、東京医科歯科大学等と共同研究したホワイトニング剤で、業界では 11 年ぶりとなる薬事認可と特許を取得しました。今はそれを自社工場で製造し、フランチャイズの医院に供給しています。

現在は、同じホワイトニング剤で中国での薬事認可も取ろうとしており、いずれアジア全体の歯科医院に流通させたいと考えています。

また、 生活者に直接届けるオーラルケア商品に関しては、たとえばAI を搭載した電動歯ブラシなども開発中。

磨き残しを検知すると担当の歯科衛生士にそのデータが共有されて次回のクリーニングに生かされたり、アプリを通じて歯磨きアドバイスしたり、替えブラシの最適なタイミングで商品をお届けしたりする。こうしたサービスを世界で展開していく予定です。

ただ、そのためには企業としての「信頼」が何より重要なので数年のうちの株式上場も目指しています

フランチャイズは究極のサブスクリプションで、基盤があるからこそ新しいことにも投資しやすい。D2C に近い形で商品を提供する手法を広げながら、ネットやグローバルな小売店などさまざまな手法で国内外の生活者と直接つながりたいと考えています。

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そして目指すのは、「世界一の笑顔創造産業」になること。

これまで、仕事も人生も笑顔によって変わる現実を、私たちはたくさん目にしてきました。16 年で築いてきたフランチャイズ事業を軸に、笑顔の要となる歯と口元を守るサービスで世界中の人とつながりたい

人々の生活や人生をより良くし、歯科医院や社会にも寄与するビジネスで市場を確立させ、「私たちは世界一の笑顔創造産業です」と言える日が来るまで、本気で走り続けたいと思っています。

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