2025年には55兆円規模になると言われている、医療ヘルスケア業界。成長市場と有望視されている一方で、医療費の高騰やデジタル化が進んでいないなど、課題が山積みの業界でもある。 そんな医療業界で、患者さんにも医師にも貢献する事業を展開しているのがメディカルノートだ。人生に密接に関わる課題を解決すべく、医師と患者をつなぐインフラになろうとしている。具体的にどのような課題を解決しているのか。金融畑からキャリアチェンジした取締役CFOの髙岡美緒氏に話を聞いた。

情報難民を解決する、信頼できる医療情報を提供したい

—— 超高齢化社会や医療費の高騰など、日本の医療ヘルスケア領域には課題がたくさんありますが、メディカルノートが解決したい課題は何でしょうか。

インターネットによって情報があふれているなか、病気に関する正しい情報が整備されていないことです。たとえば、自分や家族、友人が病気だと診断されたり、病気を疑ったりしたとき、まずはインターネットで検索しますよね。

一度でも検索したことがあれば、「サイトによって言っていることが違う」「どの情報を信頼したら良いのか判断できない」といった経験をしたことがあると思います。また、話題になった血液クレンジング療法のように「本当にエビデンスがあるのかわからない」情報もあふれてしまっている。

その課題を解決し、信頼できる医療情報を世の中に提供すべくメディカルノートは誕生しました。創業から5年間、医療業界と共に真面目に、地道に、信頼できる情報を提供し続けてきた結果、現在は月間 2000 万人の方から記事を読まれるほどに成長しました。それだけ医療の正しい情報が求められていることを実感しています。

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—— 「正しい情報を判断できない」ことは、創業者の原体験にもあったのでしょうか。

メディカルノートは現代表の井上と梅田の2人が共同で立ち上げたのですが、井上はもともと医療書籍を多数執筆している医師で、きちんとした医療情報を提供する場がないことを課題に感じていました。

一方梅田は自身が病気と診断されたとき、求める医療情報になかなかたどり着けない“難民状態”になって、病院を探し回った経験があるんですね。その経験から、“医療ジャーニー”をしなくていい世の中があるべきだという課題意識を持つようになりました。

そんな 2 人の原体験から「医師と患者をつなぎ、誰もが医療に迷わない社会を実現させたい」「多くの人に正しい情報をいち早く届けたい」と、メディカルノートは始まったのです。

実際、医師の多くは「患者さんに寄り添いたい」「病気を理解してもらえるまできちんと説明したい」「一人ひとりをケアしたい」と思っていても時間が無くて実現できないジレンマを抱えていらっしゃいます。そんなときにメディカルノートの記事を活用してくださっていると伺っていますよ。

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誰もが医療に迷わない世界をつくる

—— 医療の正しい情報を提供するために展開している事業について教えてください。

中核サービスとなっているのは、すべての人に納得できる医療を受けてもらうための情報を提供する、「Medical Note」のプラットフォーム事業です。アプリや Web でさまざまな疾患に関する正しい情報を提供するほか、症状を入力すると可能性のある疾患がわかり、個別の悩みはオンラインでいつでも医師に相談できます。

さらに、今年から新しく始まったのは、医師の検索と予約サービス。たとえば「大腸ガン」で検索すると、その領域の第一線で活躍する医師が一覧表示されるんです。

医師ごとに、所属する病院や学会、取り上げられている記事、医療との向き合い方などが詳細に表示されますし、そのまま医師の予約が可能。病気だと診断されたあと、何をすべきか・誰に相談したらいいのかを正しく可視化する世界観を目指しています。

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—— それは患者さんにも医師にも正しい世界のように思います。

まさにそうで、「医療に迷わなくて済むソリューション」を提供することで、何かあったとき親身に相談に乗ってもらえる状況をすべての人に作ろうとしているんです。

なぜ今まで同じようなサービスがなかったのかというと、半年や1年で結果が出るものではないからです。目的に向かって長期的視点で病院や医師との信頼を積み上げていく必要がある領域だから、短期的に業績を積み上げたい企業は参入しづらい。実際、私たちも結果が出るまでに5年かかりました

大切にしているのは「時間価値」「企業価値」「社会価値」

—— それだけ短期的視点ではなく、長期的視点で目的に向かう組織には、どのようなカルチャーが根付いているのでしょうか。

現在、社員全員が中途採用ということもあって、いろんなバックグランドを持つメンバーが集まっているのですが、共通しているのは「ミッションの実現」と「一人でも多く医療に迷わない人を増やしたい」という熱い思い。一人の思いで成り立っている、一人が目立つ会社ではなく、ミッション達成のためにそれぞれの役割を担う“大人ベンチャー”で、真摯にユーザーやクライアントと向き合っているのが特徴です。

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そして、大切にしている価値観は「時間価値」「企業価値」「社会価値」の3つ。

「時間価値」は、特に医療の世界では、一人でも多くの人に健康な時間を長く過ごしてもらいたいですし、もちろん自分や仲間の時間も大切です。時間は誰にも平等に与えられているものだから、それぞれの時間を尊重しています。

次に「企業価値」。One Medicalnote と言っているのですが、私たちは一人でできることではなく、組織でやるからこそインパクトを最大化できると信じています。

最後は「社会価値」です。私たちは短期的な売上重視の考えではなく、社会的意義は何か、何のためにやっているのかを常に忘れないようにしています。1億人のうち1人でも救われるなら、やるべきことかもしれない。そう考え実行することを大切にしています。

—— 医療ヘルスケア領域だからこそ大事な価値観で、とても堅実に社会課題と向き合っていることが伝わりました。

真摯に個人の健康と医療課題に向き合い、5年間ブレずに走ってきたことで、たくさんの企業や医療業界の重鎮などにも応援していただけるようになりました。とてもありがたいことです。

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信頼できる人と目的に向かって全力で走りたい

—— 高岡さんの前職はマネックスグループの執行役員で、それまでも一貫して金融のキャリアを歩んでいました。なぜ異業界のメディカルノートを選んだのでしょうか。

インターネットの世界では業界の垣根が溶けていますし、「愚直にユーザーニーズとイノベーションを追求する仕事」というのは変わらないので、業界の違いは大きく意識しませんでした。もともと医療に詳しかったわけではありませんが、3人の子どもの母親ですし、両親も高齢化しているということもあって、医療は身近な存在でした。

何より、私は“誰と働くか”をすごく大切に考えているんですね。自分が全力で時間を賭けるからには信頼できるチームとやりたいし、社内政治に疲弊する組織ではなく目的に向かって走れる組織で働きたい。メディカルノートは、まさにそれが実現できる場所だったんです。

また、働く母として時間の自由度はとても大事な要素。メディカルノートは時間価値を大切にしている会社だから、両立しやすいだろうと思いました。

そのうえ、子どもに対して「お母さんは日中どんな仕事をしていて、それが社会にどう役立っているのか」を堂々と話せるのは、私にとって大きな価値。こうしたさまざまな要素が組み合わさり、メディカルノートへのジョインはあまり悩みませんでしたね。

—— 価値観が合致したのですね。他に仕事に対して大切にしている考えはありますか?

2つあって、1つは進化し、その過程を楽しむこと。世の中が現状維持であり続けることは絶対にないので、人も組織も進化し続けないといけません。社会や産業構造が大きく変わっているこの時代で「絶対にこの職種はなくならない」という確証はどの職種にもない。

だからこそ、変化を楽しみながら進化することを大切にしています。進化論を説いたチャールズ・ダーウィンの『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である』は大好きな名言です。

もう一つは、信頼を積み重ねること。人生 100 年時代ですから、半年後や1年後の給与額よりも、生涯価値の最大化の方に興味があります。そこで大事にしているのは信頼。今すぐの見返りではなく、地道に信頼を積み重ねて“信頼貯金”を蓄えていけば、長い目で見たら必ず報われると考えています。

特にメディカルノートは信頼を積み重ねていくことで成り立つ事業ですし、私の哲学と合致していると思っています。

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メディカルノートは、次世代が当たり前に使うインフラに

—— これからメディカルノートをどんなサービスに成長させたいですか?

誰もが使う“メディカルノート”にしたいです。今はゼロイチのフェーズが終わり、これから事業を確立させていくフェーズに入ります。

5年間の積み上げによって、医療業界や企業、ユーザーから頼りにされ始めているからこそ、しっかりと事業を作り上げたい。ただ、私たちは走りながら事業を作ってきたので、制度が整っているわけでもないし、管理職も全く足りていません。それらも一つひとつ作りながら、世の中になくてはならないサービス・組織にしたいですね。

—— メディカルノートがインフラになった社会を見たいです。

いつも話しているのですが、私たちは「自分たちの子どもの世代が当たり前に使うメディカルノート」を作りたいんですね。その状態から逆算して今何をすべきかを判断しているので、本当に長期視点で考えながら進めているんです。

人の健康や人生に関わる難易度の高い領域だからこそやり遂げたいし、当たり前に使われるインフラになりたい。未来を見据えたさまざまな展開を実現させることで、未来の社会に貢献したいと思っています。

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